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スター・トレック

STAR TREK

2009.05.29

 2009年5月29日、第11作目の映画『スター・トレック』は、ここ日本においても公開されました。映画の製作が発表されてから今日まで、この日を首を長くして待ち続けたファンのみなさまも、多いのではないでしょうか?

 今回、当ファンサイトでは、私がジョージ・タケイさんから直接お聞きした、新作映画『スター・トレック』にまつわるエピソード、特に新たにヒカル・スールーを演じられる、ジョン・チョウさんに関連した話を、ご紹介します。タケイさんと私の会話は、ほぼ日本語です。お聞きしたことは、その都度書き留めているのですが、もしかすると、細かな点では私の記憶違いということもあります。どうぞご了承下さい。

 J.J.エイブラムス監督の『スター・トレック』について、ジョージ・タケイさんと初めてお話をしたのは、2007年8月に横浜で開催されたワールド・コンのために、来日されていたときのことでした。この時は、まだキャスティングの真っ最中だったと思います。確かヤング・スポック役として、ヒーローズに出演していたザッカリー・クリントさん、さらにレナード・ニモイさんも老スポック役として出演されることのみが、決まっていたように思います。ですから、当然スールー役にも、多くの候補者がいたようです。

タケイ:いまヤング・スールーの候補には、僕の友人も4人、挙がっています。で、その4人とも僕から、監督に口添えをして欲しいと、お願いされていて・・・(笑)。でもみんな知っているので、ヒイキはできないのです。

 そうタケイさんは、おっしゃっていました。

 2007年10月、ヒカル・スールーの役が、韓国系アメリカ人のジョン・チョウさんに決定しました。そしてこの時、ジョージ・タケイさんからもコメントが発表されました。

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October, 2007
George Takei Statement on Casting of John Cho as Sulu in New Star Trek Film:
"Sulu's in good hands. John Cho is an exciting actor. I've seen Cho in many productions at East West Players and he always brings a vigorous sense of individuality to his roles. Under the leadership of JJ Abrams, the Star Trek franchise is being infused with new energy and I hope John Cho plays a critical part for many years - and films -- to come."

2007年10月
新たな『スター・トレック』映画でのスールー役のジョン・チョウのキャスティングについてのジョージ・タケイからの声明:
 スールー役は、信頼できる人物に任されました。ジョン・チョウは、エキサイティングな俳優です。私は、イースト・ウエスト・プレイヤーズで、多くの作品を演じるチョウを観てきました。そして彼は、常に役に身を投じます。J.J.エイブラムズの指揮のもと、『スター・トレック』フランチャイズは、新たな息吹きを与えられています。そして私は、ジョン・チョウが、永きに渡り重要な役割を果たすことを、望んでいます。 映画はまもなく、公開されることでしょう。

 イースト・ウエスト・プレイヤーズ(East West Players)とは、ロサンゼルス・リトル東京にあるアジア系アメリカ人の劇団のことです。1965年に、日系人俳優 マコ・岩松さんによって創設され、現在ではアジア系俳優の劇団としては、トップクラスの地位を確立しています。2005年にはジョージ・タケイさん主演の舞台『エクオス(EQUSS)』も上演されました。また現在は、この劇団の理事も務めていらっしゃいます。

 ちなみに当時キャスティングされたジョン・チョウさんも、あるインタビューで、こうコメントされていました。

"Are you kidding? To drive the Enterprise, that would be so cool!"

「冗談を言っているのかい?エンタープライズを操縦できるなんて、最高にクールじゃないか!」

ジョン・チョウさんのウィキペディアはこちら

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 2007年11月末、驚くべきニュースが、インターネットで流れました。なんとそれは、ジョージ・タケイさんが、製作中の『スター・トレック』にカメオ出演されるというニュースでした。

ジョージ・タケイ、『スター・トレック』最新作にカメオ出演

 残念ながら、これは単なる噂に過ぎなかったようです。私は2008年3月に、ロサンゼルスでジョージ・タケイさんと、ブラッド・オルトマンさんにお会いしたときに、念のためそのことを確かめています。

水野:教えて下さい。新しいスター・トレックの映画に出演されるというニュースが出ていましたが・・・。

タケイ:あれは、インターネットの噂です。もうキャストも決まっているんです、台本があるのですから。なぜあのような話になったのかは、分かりません。しかしインターネットのニュースは、全てが真実というわけではないのです。

ブラッド:そう、あれは間違いだよ。ジョージが出演するという話は、事実ではありません。

水野:そうですか。でもタケイさんが出演されないのは、残念な気もします。

タケイ:ジョン・チョウという人が、僕の役をすることになっています。

水野:彼もイースト・ウエスト・プレイヤーズで、舞台に出られているみたいですね。

タケイ:はい、もう4・5回、出ています。とてもいい役者です。

水野:そうですか、でも日本では少しタケイさんと雰囲気が違うかな?って、話もありますよ。

タケイ:もちろん同じ人ではないですよ(笑)。ほかの役者たちもみんな・・・。キャプテン・カークの役をする若い人も、ビル・シャトナーとは違いますよね。でもスポックの役をするザッカリー・クリント、あの人はレナード・ニモイの顔に似ていますね。

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水野:彼は、ヒーローズにも、出ていましたね。(サイラーのように人差し指で、頭を切る仕草)

タケイ:そう、あの人は、オリジナルの役者の顔に良く似ていると思います。

水野:レナード・ニモイさんも出演されますしね。

タケイ:バルカンは、人間よりもずっと長生きの人種ですから・・・。200年後のスポックです。

水野:とても楽しみにしています。タケイさんが出演されていないのは、残念ですが・・・。

 そしてこれは今年1月、ジョージ・タケイさんが来日されたときに、お聞きした話です。
タケイ:ジョン・チョウは、韓国で生まれた方ですが、赤ちゃんのころアメリカに来て育っているので、アメリカ人と変わらない話し方と、考え方が身についています。

水野:ジョン・チョウさんが、スールーの役をやるにあたって、アドバイスをされたことはあったのですか?

タケイ:はい、僕は、イースト・ウエスト・プレイヤーズで、理事をしています。ですから彼の舞台を何度も見ているので、彼がいい演技をしてくれることを、知っていました。しかし、J.J.エイブラムスには、不安がありました。僕は日系人ですよね。ですからエイブラムスは、できるだけスールーには、日系人俳優をキャストすることを考えていたのですが、ジョンをスクリーン・テストした時に、彼をキャスティングしたいと、考えたそうです。ですから僕に電話を掛けてきて、日系人ではない役者でスールーの役を考えているのだけれども、一緒に昼食をとりながら、考えを聞かせて欲しいと、連絡があったのです。

タケイ:J.J.エイブラムスは、ジーン・ロッデンベリーには、会ったことがありません。ですから、僕に日系人ではないこのキャスティングについてどう思うか、僕にアドバイスを求めてきました。ですから僕は、ジーン・ロッテンベリーの考え方を、話したんです。

タケイ:ジーンは、とても素晴らしい思想家でした。アジアの人の名前は、それぞれの国籍が分かる名前です。タナカは、日本人。ウォンは、中国人。キムは、韓国人。しかし名前で国を表すということについては、かってアジアの国々が、戦争で争った暗い歴史があるということに配慮せねばなりませんでした。だから国とは関係のない名前にしたかったのです。そんな時に、ジーンがアジアの地図を眺めていて、フィリピンの南シナ海にスールー海という名前の海があることに、気がついたのです。そして海の水は、全ての国々の海岸に繋がっている、だからこのアジアの代表として、この名前に決めたのです。で、ファースト・ネームのヒカルについては、日系人の僕がキャストされていたので、この名前になりました。そうJ.J.エイブラムスに、話したのです。

タケイ:それで、J.J.エイブラムスは納得して、「いま自分は、ジョン・チョウという韓国の役者で考えている」と言ったので、「彼は、いい役者だ。僕は何度も彼の舞台を見ているから、彼のことは自信を持って薦めることができる」と、話したんです。こうしてヒカル・スールーの役は、ジョン・チョウに決まったんです。

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水野:そうですか。でも僕は、あなたほど心が広くないので、やはりスールーは、日本の俳優に演じて欲しかったですね。

 そう申し上げると、ジョージ・タケイさんは、笑っていらっしゃいました。

 2009年4月7日、オーストラリア・シドニーのオペラハウスでのワールド・プレミアを皮切りに、新作映画『スター・トレック』は、世界各地で公開が始まりました。そして、みなさまもご存じのとおり、かってなかったほどの躍進を遂げています。

『スター・トレック』ロサンゼルス・プレミアに

 私は、あるプレミアのレッドカーペット・インタビューで、ジョン・チョウさんが、ジョージ・タケイさんから頂いたコメントを述べられていたのが、とても心に残っています。確かこのような内容だったと思います。

Good luck, John Cho. Good luck!
I'll be known as the old guy who played John Cho.
Have a wonderful trek!

幸運を、ジョン・チョウ、君に幸運を。
いつか私が、君の老いた姿のスールーとして、知られることになるだろう。
素晴らしい旅路と、ならんことを。

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 『スター・トレック』の新たな章は、こうして始まりました。一新されたキャストと、スタッフのもと、オリジナルを活かしながら、大胆な改革も取り入れ、かって観られなかったほどのスピード感あふれるストーリー展開と、度肝を抜くような視覚効果の数々が次々に展開してゆきます。

 しかしそこには確実に、ジーン・ロッデンベリーの「未知への探求と、未来への希望」、そして「無限の多様性との無限の協調」といった精神が、満ちあふれています。そしてジョージ・タケイさんら、オリジナル・キャストのメンバーたちが、40年以上の永きに渡り大切に育て続けてきたキャラクターたちが、新たな世代に引き継がれ、これからも成長してゆくのです。私は、映画を観ながらそのことを想い、胸を熱くしました。

 『スター・トレック』の航海は、再びここに始まりました。これからも私たちを素晴らしい未知への世界へと、誘(いざな)ってくれることでしょう。

 To boldly go, where no one has gone before・・・

 ― 人類未踏の地に、勇敢に進め ―

関連サイト
『スター・トレック』日本版公式サイト
http://startrek2009.jp

『STAR TRK』公式サイト
http://www.startrekmovie.com